今回は、これまでの自動車産業に関する取組と、今後の展望についてご紹介します。
秋田県の自動車産業は、1972年にスズキ部品秋田が井川町で、1974年に厚木自動車部品(現 日立オートモーティブシステムズ)が横手市で、それぞれ操業開始し、これらを中核に発展してまいりました。
一方、隣県では1993年に関東自動車工業が岩手県で、1998年にトヨタ自動車東北、2011年にはセントラル自動車がいずれも宮城県で操業開始し、2012年にはこれら3社が合併しトヨタ自動車東日本が発足しました。東北地域がトヨタ自動車の国内第3の生産拠点として成長しています。
秋田県はこれに対応して、2006年にあきた自動車産業振興協議会を発足させ官民挙げた連携体制を整え、翌年にはとうほく自動車産業集積連携会議に参画し中部地域での合同展示商談会開催など、地域企業への事業機会を提供しています。また、自動車メーカーOB等専門家を招聘し受注戦略、現場改善指導、人材育成など多面的な支援を行っている他、大学や産業技術センターによる技術支援、国際的な品質保証システムの認証取得支援等、付加価値生産性の向上を図っています。
こういった取組の中、秋田県の自動車関連産業の出荷額は着実に成長を続けています。本年度、トヨタ自動車と直接取引をする(Tier1)自動車機構部品メーカーが横手市に進出しました。地域企業は、同社との取引においてグローバル企業であるトヨタ自動車が求めるQCD(品質、コスト、納期)を求められ、それに応えようとする努力によって世界で戦える自動車部品サプライヤーへと成長することでしょう。県は、このような挑戦する地域企業を重点的に支援、業界全体のレベルアップと参入促進を図って参ります。
こういった伝統的な自動車部品の他、自動車自体の変革に伴い新たな自動車部品産業が成長しています。変革の4要素と目されるコネクテッド、自動運転、シェアリング、EVは、いずれも高度な電気・電子・光学部品を大量に必要とし、自動車の製造コストの大きな部分を占めるようになると予測されています。この分野の製造業に強みを持つ当県にとって有利な流れと言えるでしょう。既に、大館市で自動車向けの光学機器メーカーが急成長している他、羽後町ではEV部品を開発・量産する新工場が大手電子部品メーカー2社の合弁によって建設中です。県は、こうした流れをさらに加速させるよう、これまでにも増して、関連施策を戦略的に展開してまいります。